妊娠希望の方で受胎の後、妊娠数週までは妊娠が進むものの、途中で胎児の発育が止まってしまうことが繰り返される場合に、詳しい検査をして不育症と診断されます。不育症は大きく四つの原因があるとされています。その中でも治療法が確立されているのは、「抗リン脂質抗体陽性」の場合のみとのことです。
この「リン脂質」は、ヒトの細胞の細胞膜を構成する大切な要素で、自分の細胞に対して自らが抗体をつくってしまう状態が、抗リン脂質抗体が陽性であると表現されます。これが陽性だと胎盤で細胞膜の破壊が起こり、胎児への血流障害が発生するのだろうという説が主流です。その場合の治療として、抗血小板薬とヘパリンの併用療法が確立されているそうです。
妊娠5~6週から36~37週まで、毎日2回12時間ごとに原則的には自己注射でヘパリンを打つそうです。抗血小板薬は、脳梗塞や心筋梗塞などの血栓ができやすい場合の予防薬としても使用されるアスピリンで、またヘパリンも脳梗塞などの血栓性の急性期の治療薬として使われるものです。治療とはいえ妊婦さんが、毎日続けるのは大変なことですね。