女性のための鍼灸治療室ミキクーレ 美容・健康豆知識集

経験豊かな鍼灸学校講師の女性鍼灸師が、すこやか美人になるための美容と健康のヒントを解説しています。

★朝一番にする大切なこと!

寒い時季は、身体が縮こまってしまいがちです。寝ている時も、室温や外気温の影響はどうしても受けますので朝、目が覚めたら軽い背伸びをしましょう!あくまでも軽くです。そして腕はキラキラ星の動きを、脚は股関節を開いたり閉じたりして、血流を促してから起き上がるようにしましょう。

 

寝ている間は身体の全てが眠っているわけではないですが、筋肉の血流は必要とされなければ少なくなり、その状態でいきなり背筋や腹筋、ふくらはぎや太ももなどの大きな筋肉を動かせば、血行不良状態の筋肉にしてみれば酸欠で動きにくく関節を痛めるきっかけにもなってしまいます。

身体にこれから動き出すよ!と指令を送るだけでも、血流が促がされスムースな関節運動につながります。朝の時間は1分1秒が大切ですね。その中のほんの少しの時間を自分の身体に寄り添って、大切に動かしていきましょう。

軽い伸びをしよう!

 

★肩甲骨の間にカイロを貼るのは避けよう!

新しい年の始まりです。今年も健康に過ごすためのアイデアをお伝えしたいと思います。よろしくお願いいたします。早速ですが先日、寒くなって肩をすくめてしまい肩甲骨まわりの筋肉がガチガチになってしまう対策として、左右の肩甲骨の間にカイロを貼ると良い!とテレビで言っていました。

 

エッと耳を疑いましたが、もう一瞬にして多くは高齢の方にこの情報が届いたのではないかと危惧しました。確かに筋肉が硬くなってその部位の血流が悪くなるから、そこをカイロで温めて血管を広げれば、血流が回復して、温かく感じられることでしょう。ただ肩甲骨の間は、すぐそばに心臓があります。


心臓は全身に血液を送るため、日夜活発に動いているのに、さらに温めると負荷がかかり過ぎます。高血圧や心臓疾患を抱えている方が、テレビで良いと言っていたからと、早速やってしまう可能性もあります。ヒトの体は部分の集まりではありません。まずは自分の体温を極力逃がさない工夫が大切です。

体温を逃がさない工夫

 

★お正月に千両、咳止めに南天!?

先日、そろそろ千両の実をご近所にお配りするという方がいらっしゃいました。そうした風習が残るのは、何代も続くお家だからでしょうか。お正月の縁起の良いお飾りとして刷り込まれている感じがしますが、寒い時期に真っ赤な実と緑の葉を携えていて気分が上り、新しい年を迎えるのにピッタリですね。

 

ところで私の家には南天の木があります。赤い実と緑の葉は千両と同じで、南天の実の主成分には気管支を広げたり、咳中枢の興奮を抑えて咳を沈める作用があるとのこと。また他にも抗アレルギー作用や、視力低下の治療に用いられたりもするそうです。有名なのど飴の主成分となっていますね。

南天の実




巷では咳止め薬が足りないと言われていますが、漢方薬を使ったり、鍼灸治療を早めに受けたり、ハチミツやのど飴で気道の状態を良好に保つなどの工夫を常にして、乾燥した寒い季節を乗り切りましょう。今年1年、皆様に支えられて健康に過ごすことが出来ました。本当にありがとうございました。

★揉み返しは筋肉の断裂による炎症反応。

銭湯やスパなどでみかけるマッサージ機で、腰かけてお金を入れると背中や腰のあたりを揉んでくれる機械がありますね。あまりに背中や腰回りが凝っているからと、20分くらい続けたところ、翌日腰に違和感が出てしまったという方がいらっしゃいました。

ローラー部分の素材が硬く、筋肉に食い込むような動きだったようで、これは緊張して硬くなっている腰の筋肉が部分的に断裂して炎症が起きている状態だと思われます。運動をしても、わずかながら筋線維や毛細血管の断裂は起きていて、齢を重ねると翌日や翌々日に筋肉痛がやってくるのと同じです。


何事もやり過ぎは禁物で、悪くすれば内出血にもなりかねません。凝った筋肉をタンスの角に押し当てたり、ビール瓶で叩くといったことも避けた方が無難で、お風呂にゆっくり浸かって毛細血管をしっかり広げてあげることがお勧めです。頸部や手首・足首など首という首を冷やさないようにしましょう!

揉み返し

 

★頻尿で困っていますか?

最近、私は夜中に一回はトイレに行く日がほとんどですが、その後ふとんに入れば眠りにつけるので困ってはいません。一般的に頻尿の目安としては、起きている間に8回以上、寝ている間に2回以上くらいとされているため、高齢でしょっちゅうトイレに行く方は、そのこと自体を気にされてしまいます。年齢と共に膀胱も他の組織同様に少しは硬くなるので、困っていなければそれほど気にする必要はないと感じることがしばしばです。

病的なのは例えば、主に肛門からの大腸菌感染による膀胱炎(女性に多く、放置すると腎臓まで感染が及ぶ場合があります)や膀胱の腫瘍、また男性では前立腺肥大症など、膀胱を物理的に刺激してしまうような何らかの状態があって、トイレに行っても排尿量は少なかったりする場合です。尿が溜まっていないのに、刺激による神経の興奮で排尿したいらしい・・と脳の排尿中枢が感じて命令を下すのです。

膀胱炎や膀胱腫瘍は、血尿が出ることもありますので、その場合は泌尿器科を受診した方が良いと思います。病的な場合を除いては、膀胱が過活動だ!と悪者扱いせず、行きたい時に行っておこう!くらいのつもりで生活すればいいのではないでしょうか。家にいる時は少し排尿を我慢してみて、膀胱容量を維持するような訓練はしてみる価値がありそうです。薬で調節するのはそれからでも遅くないと思います。

膀胱トレーニング!?

 

★心臓弁膜症!?

ベテランの後期高齢の方が、半年前から水泳を始めていました。今回とても膝から下のむくみがあるので、何か変わったことがありましたか?と訊ねると、水泳教室にプラスして自主練をしているとのこと。このお歳で?と、言うほどのお歳です。さすがです!!と言いたいところですが・・・。

 

自主練の時は、坂道を登った後、なんていうものではないドキドキなのよ!とおっしゃる。今までそういうお話がなかったので、ビックリ。この方は僧帽弁閉鎖不全症を持っていて、心臓が大動脈から全身に血液を送る時に、全部が全身に行かずに、心臓の中で逆流するので、身体は酸欠状態になります。

 

ご自身は、心臓の薬として利尿剤をもらっているとおっしゃり、あまり心臓に負担をかけすぎてはいけない理由を理解されていなかったようで、その旨を伝えました。もちろん病気だから家でじっとしていた方が良いわけではなく、適度な運動は大切です。悪くならないよう気を付けていきたいと思います。

僧帽弁閉鎖不全症

 

★ホルモン補充で治療が可能な認知症!

ある程度の年齢になってくると、認知症を疑う場面が増えてくると思います。物忘れがひどくなってくると、脳自体の病気を疑うことは自然ですが、ホルモンの異常で認知機能障害がみられる甲状腺機能低下症を疑ってみることも大事です。

甲状腺機能検査は、甲状腺から出るホルモンの血中濃度を測ることと、超音波検査で甲状腺の状態をみるものです。甲状腺ホルモンは脳の活動を良好に保つ作用があるとされているため、ホルモン量の低下が判明した時は、ホルモン補充療法を行うことで、認知症症状が改善されるそうです。


また、脳の活動が緩慢だとうつ病と間違われ、抗不安薬などを処方されてしまうケースもあるため、症状を悪化させてしまうことも・・。甲状腺ホルモンの検査をすることが、認知症疾患診療ガイドラインでも推奨されていますので、詳しい検査で本当の病状を確認出来ることを知っておきましょう!

薬で改善する認知症