以前は、離乳食を生後3か月頃までに食べさせるといいとされ、家族が食べるものを少量ずつ食べさせるのが、一般的でした。ところが、アトピー性皮膚炎を発症した乳児の多くが、一定の食物に反応していることがわかり、予防のためには離乳食開始を遅らせた方がいいと考えられるようになりました。
これは「経皮感作」という現象が知られていなかったことによります。家庭内にある食物の一部は、ホコリとなって家の中の床やシーツに付着しています。経皮感作は、皮膚の傷や湿疹から食物のたんぱく質が入ると、アレルギー反応(過剰な免疫反応)を誘発させる「抗体」が作られやすくなる現象です。
ただし、人のからだは自分にとって必要な物質には、免疫寛容が働き、その物質を攻撃するような抗体を作りません。この免疫寛容を起こさせるためには、家族が食べるものを早めに少量摂取させ、湿疹などから刺激を受ける前に、腸に「過剰に反応しなくていいよ」と覚えさせることが肝要です。