女性のための鍼灸治療室ミキクーレ 美容・健康豆知識集

経験豊かな鍼灸学校講師の女性鍼灸師が、すこやか美人になるための美容と健康のヒントを解説しています。

★「妊娠糖尿病になりました」

先日、患者さんからお便りをいただきました。妊娠28週で逆子になったため、通院されていた患者さんです。予定日の1ヶ月半ほど前まで働いて、やっとゆっくり出来ると思ったのも束の間、妊娠糖尿病を発症して入院し、退院して程なく帝王切開にて出産したとのことでした。

出産も育児も未知の世界ですが、母子共に元気ですという内容でした。ところで、この患者さんが発症した妊娠糖尿病ですが、少しずつ増加しているそうです。本来の糖尿病ではなく一時的ですが、本来の糖尿病になる傾向があるとも言われています。

 

妊娠中は胎盤から出るホルモンによってインスリンの働きが妨げられ、各細胞にブドウ糖が取り入れられにくくなるため、母体の血糖値が高まりやすくなります。母体の血糖コントロールが不良になると、胎児にも少なからず影響が出るとされます。

母体の高血糖状態が胎児にも現れ、ブドウ糖を細胞に取り入れるため、高血糖に比例した高インスリン状態が生じます。インスリンには成長促進作用があるため、巨大児になる可能性が生じ、出産困難を招きます。母体には糖尿病の症状が出ますが、気づかれにくいようです。

 

早産や尿路感染症、高血圧症候群、羊水過多症なども起きやすいとされます。そうした症状を回避するためにも、食事療法と運動療法は大切です。どうか、健やかに育まれることを切に願っています!!

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食事に気を付けて、お散歩も!




 

★急に片目の視界が真っ暗になったことはありませんか!?

先日みえた70代の患者さんから、左足からならお風呂に入れるのに、右足から入ろうとすると上手くいかなくて、もう一度左足からやり直すのよ・・・との訴えがありました。状態を把握するのに、的確な訴えだと感心しました。

この患者さんは、右膝が痛くていらしたのですが、いつのまにか右脚で踏ん張れるほど右膝の痛みが治まり、知らず知らずのうちに、左足で右膝をカバーしていたためか、今度は左膝に痛みというより違和感が出てきたようです。

 

この患者さんが、足が持ち上げられずお風呂に入れないとなると、心臓にステントも入っているし(心臓に栄養を運ぶ動脈が狭くなり、広げるための処置をしてある)、動脈硬化は確実にあるだろうし、別の病態もありかな?と一瞬考えました。


それは一過性脳虚血発作という、一時的な脳の虚血状態で、脳梗塞の前段階とのとらえ方もある病態です。日常生活の中で、ろれつが回らないとか片目の視界が暗くなったり、筋肉に力が入らず、物を落としたり、立っていられなくなります。

ただ、5分程で症状は完全に消えるので、そのまま放ってしまいがちです。この病態は2日以内に脳梗塞を発症する危険性が高いとされますので、こうした症状は決して放っておかず、病院で相談するなど改善に向けて行動しましょう!

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足上げ体操



★痛みに苦しむ検査はNOと言う心づもりもしておこう!

先日みえた80代後半の患者さんは、既に腰部脊柱管狭窄症と診断されていました。縦に積み重ねられた背骨はその間に縦長の空洞ができます。それが脊柱管で、中枢神経である脊髄が収まっています。

 

そこが様々な理由で狭くなるので、脊髄が圧迫され炎症が起き、脚のしびれや痛みなどの症状が出るとされています。さて、この患者さんは少しでも楽になればと鍼灸にいらしたのですが、別の病院の脊椎専門の先生に診てもらう予定でした。


すると病院では3時間待たされたあげくに、MRIで約30分の仰向けというこの患者さんが、最も痛くて辛い状態を余儀なくされたのです。そして数か所所見がありますと言われ、でも歳だから、手術は勧められませんね、という一言。

もうそれからは家の中でも杖なしでは歩けず、腰も痛むし、外に出る気もしないということで、鍼灸治療にもいらっしゃれなくなりました。今までは、一人で電車に乗っていらしていたのにです。検査で体を痛めてしまうのは本末転倒です。

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脊柱管狭窄症

 

★耳の中がゴソゴソする・・・➡真珠腫?!かもしれません。

先日いらした患者さんが、耳の中がゴソゴソして、自分の声が後頭部に反響するとおっしゃるので、万が一にも突発性難聴(原因不明で難聴になってしまいます)であるといけないので、今日明日にも必ず耳鼻咽喉科を受診するようお勧めしました。

 

すると次の日、丁寧にご連絡をいただき、聴力検査や頭部のCT検査をして、この真珠腫が判明したのです。真珠腫は一種の中耳炎のことで、鼓膜の一部が中耳側に入り込み、鼓膜のへこんだ部分に耳アカなどがたまり、そこで炎症が起き、中耳の耳小骨や周りの骨を溶かしながら進行します。

真珠腫は放っておくとだんだん大きくなるため、出来るだけ早期に発見して、早めの治療が必要です。耳小骨が破壊されると、音の振動が内耳に届かず、難聴やめまいなどが起こります。治療は手術が一番とのことで、手術後は聴力の改善が期待でき、翌日から歩行や飲食が可能だそうです。

耳の違和感はけっして放っておかず、早めに行動しましょう。仕事が忙しいからと言って、明日、来週また来週と延ばし延ばしにすると、本当の難聴へ発展してしまうかもしれません。仕事を休んででも確認・安心のため受診をしましょう。

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真珠腫

 

★骨粗しょう症はカルシウムだけ補ってもダメ?!

健康に生きていくためには、行きたいところに自ら足を運べる体力を維持することが大事です。それにはやはり骨の丈夫さは欠かせません!骨の強さは骨密度だけでは決められず、骨強度=骨密度+骨質となります。

たとえ話ですが、鉄筋コンクリートの柱のコンクリート部分が骨密度(骨ではカルシウムやマグネシウムなど)に当たり、鉄筋部分が骨質(コラーゲンというたんぱく質線維の束)になります。ですので、肉や魚、卵、大豆などの蛋白源は欠かせません。

骨の強さを保つには、骨密度が7割を、骨質が3割を担っていると考えられていますが、同じ骨密度の人でも、年齢が高い人ほど骨折する人が多くなります。このことから、骨折には骨質の劣化も少なからずかかわることがわかっています。

残念ながら現段階では、骨質を骨密度のように簡単に検査することはできないそうです。例えば糖尿病の方は、骨密度は正常でも高血糖の影響でコラーゲン線維が作られにくく骨質が低下して、骨強度が弱くなり、隠れた骨折のリスクが通常の2倍に上るそうです。

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骨の丈夫さ

 

★台風によるさまざまな影響

明日10月12日土曜日は誠に勝手ながら、治療室をお休みさせていただきます。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。今まで経験したことのないような台風到来ということで、身を守る行動を!と叫ばれていますね。

さて、今回の台風19号は最初の中心気圧が915hPaと大変低く、通常の大気圧1013hPaに比べ100ほど低い値です。気圧が前の日と比べて10 hPa以上変化すると、身体に何らかの症状が出るという論文もあるそうです。

 

人間の体は1㎡当たり、十トンの空気の圧力を受けていて、それを体内から同じ力で押し返すことでバランスを保つと考えられます。ところが台風のように体を外から押す力が弱まると、気圧を感じるセンサーの内耳が膨張します。

 

その内耳の異変が脳を経て、自律神経に伝わり、交感神経が優位なら「痛み」を感じやすく、副交感神経優位なら「だるさ」が際立つようです。痛みはストレッチなどでリラックス、だるさには明るい服装などで交感神経を優位に!

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低気圧は酸素がうすい

 

★快便姿勢?!

少しの工夫で、快便が促されることをご存じですか?肛門のすぐ上は直腸ですが、その回りには恥骨直腸筋(ちこつちようこつきん)という筋肉があって、肛門付近はトイレ以外の場所で排便されないような構造になっています。

 

恥骨直腸筋の働きは直腸を引っ張って折り曲げ、直腸から肛門に便が降りて行きにくくすることです。図を見るとわかるように、洋式トイレに姿勢よく腰掛けているたけでは、直腸が折れ曲がり便の通過を妨げるばかり。

そこで、図のように肛門と直腸が一直線になるような姿勢をつくればこの筋肉が緩んで、かなり排便バックアップとなるわけです。深くおじぎをするもよし、足の下に台を置いて、その姿勢を作り出すもよし。効果は実証済み!?

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快便姿勢