女性のための鍼灸治療室ミキクーレ 美容・健康豆知識集

経験豊かな鍼灸学校講師の女性鍼灸師が、すこやか美人になるための美容と健康のヒントを解説しています。

肝斑とシミの違いは何でしょう。

 肝斑もシミの種類のひとつですが、一般的な‘シミ’と‘肝斑’は原因が違います。肝斑はその名前から何か肝臓に原因があるように印象づけられてしまっていますが、そうではなくシミの形が肝臓のように見えるからということのようです。

お化粧をして隠してもどうしても肝斑の形が浮き出てしまって、顔色が悪く見え老けた印象を与えますので、女性としては大変気になります。一般的なシミの原因は紫外線を浴びることで大量の活性酸素が発生するので、細胞が酸化してしまうことのないようにする身体の防衛反応です。

つまり紫外線が肌の奥まで届かないように、皮膚の表面の一番深いところにあるメラノサイトからメラニンという黒っぽい色素を作り出しこれでブロックします。皮膚の新陳代謝が正常であれば、このメラニン色素は古くなった角質層とともに垢となって剥離します。

しかし肝斑は紫外線に当たらなくてもできてしまうことがあります。妊娠や生理不順のために服用したピルなどにより女性ホルモンのバランスが乱れたことが原因といわれています。女性ホルモンの分泌が盛んな30代〜40代に多いことからもわかります。
ホルモンのバランスが崩れることで、表皮の90%を占める細胞(ケラチノサイト)を刺激し、‘プラスミン’という血液の中の塊を溶かす働きを持つタンパク質分解酵素が増えるので、防衛作用を刺激されたメラニン細胞が活性化しメラニン色素が作り出され、シミとなって現れます。

プラスミンの働きを抑える薬の主成分はトラネキサム酸で、血栓(血液中の塊)を溶かすのを阻害するため、脳血栓心筋梗塞などの疾患を持つ人は慎重に服用する必要があります。60代になると肝斑はほとんど見られないですが、どうしても気になる方にとっては強い味方になるでしょう。