この暑さで家にこもっていると、渓谷の樹木に囲まれて森林浴したり、清流や滝のそばで、細かな水しぶきを浴びて涼みたい!と思いますよね。何百年も生き続ける樹木が、自分自身を守るために発散する揮発性物質をフィトンチッドといって、樹木の生命力の源とされています。
このフィトンチッドの主な成分は、テルペン類と呼ばれる有機化合物です。消臭、防虫、抗菌、リラックス、抗酸化などに効果があり、人体や我々の生活にも有益とされています。鍼灸治療で用いるお灸(おきゅう)の元となるのがヨモギの裏毛ですが、ヨモギもこのテルペンを含みます。
患者さんが、「ああいい匂い」と仰ることがあります。もっとも今は皆さんマスクをしていますので、そうはいきませんが。ヨモギ餅で虫下し、止血作用、身体を温め血流促進など、さまざまな効果があるとされます。渓谷には簡単に飛んでいけませんが、お灸はすぐそばにあって寄り添ってくれます。