人間の皮膚の表面は汗腺と皮脂腺からの分泌物がほどよく混ざりあってできた皮脂膜によって覆われていて、身体の表面を守っている角質層にある水分をそこに留める働きをしています。
ところが外気が乾燥してくるとこの皮脂膜での分泌は低下し、角質層がところどころはがれ落ちてしまいます。そうなると保護膜が薄くなるので皮膚の中の保湿成分(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、へパリンなど)が外に出て行きやすくなり皮膚の乾燥が進んでいきます。
尿素を10~20%含有するクリームは角質の溶解・剥離作用が際立っていて、どちらかというと剥がれ落ちず分厚く堆積した角質を薄くし、皮膚を正常化するのに役立ちますが、そこまでの角質がない場合は返って大事な角質層を奪うことにもなるのであまりおすすめできません。
ヒルドイド軟膏などのへパリン類似物質は血液が固まるのを防ぎ、炎症を抑える働きや鎮痛作用もあります。皮膚から吸収され皮下へと浸透すると、血管壁を経て血管に入るかリンパ管に吸収されるので、水分の保持や組織の栄養を司る真皮という表皮の下の層の成分になります。
このヘパリン類似物質含有のクリームは市販されているものもあり、乾燥肌の治療などにも効果があります。ですので尿素入りのクリームはかかとやひじ、膝など、部位を選んで使用するのがいいようです。