女性のための鍼灸治療室ミキクーレ 美容・健康豆知識集

経験豊かな鍼灸学校講師の女性鍼灸師が、すこやか美人になるための美容と健康のヒントを解説しています。

しもやけ(凍瘡、とうそう)は治りますか?

 極端な寒冷では凍傷を起こし、重度の場合は組織が壊死してしまいます。それに対して初冬や初春などの季節での軽度の寒冷によって起こるのが‘しもやけ’です。通常、寒冷状態に置かれると体熱が奪われないように皮膚近くの血管は交感神経の働きで細くなります。

すると皮膚表面の血流は減少し、身体の中心部に血液が集まります。ただ、そのままでは末端部の組織障害を起こすので、血管は拡張します。その際、毛細血管より前の動脈はスムースに拡張しさらに毛細血管も拡張していきます。

それに対して毛細血管より少し後の静脈の緊張は緩みにくく、細くなったままなので、そこでせき止められた血液は毛細血管にうっ帯するため毛細血管は膨張します。そのため皮膚は赤く見え、血管から染み出た物質などで組織にムクミが生じ、細い神経を刺激してかゆく感じられます。

本来、静脈も緩んでくれて血行が良い状態なら真っ赤になったり神経の刺激は起こりません。このように毛細血管を挟んで動脈と静脈の活動のアンバランスが生じ、しもやけを起こすと考えられています。

血管を細くしたり緩めて拡張させるのは自律神経の働きです。お灸や鍼による治療はそうしたアンバランスな状態の是正に役立ちます。患者さんでもお灸をしていることで、今年はしもやけが起こらないという方もいらっしゃいます。予防は何にも増して、健康の先取りになると思います。